西山美香 知的障害の看護助手 (6)
2020年4月28日(火) 放送、日本テレビ系「ザ!世界仰天ニュース」冤罪はなぜ起きたSP
21時00分~21時54分




2003年、滋賀県東近江市の湖東記念病院やってもいない「人工呼吸器を外した」と自供した看護助手の西山美香さん。殺人罪で懲役12年が確定した。服役後、やってもいない犯罪を自供したことで再審請求を行った結果、はれて無罪が認められた。



なぜ、彼女は冤罪で服役することになってしまったのか?




今回は、知的障害の西山美香さんが恋をした山本誠刑事、取り調べの段階で警察が立件したい一心で自供に持ち込んだ概要についてまとめてみた。





■目次

西山美香とは
西山美香さんの自供
西山美香さんは知的障害の看護助手
西山美香さんは知的障害だから冤罪になった?
西山美香さんの今後

西山美香とは

西山美香 知的障害の看護助手 (4)


2003年5月22日、滋賀県の湖東記念病院に入院していた植物状態の男性患者(当時72歳)が死亡した。滋賀県警は、人工呼吸器のチューブがはずれたことを報じるアラーム音に当直の看護師らが気づかず窒息死したとみて過失致死事件として捜査した。





2人の看護師とともに任意聴取された西山さんは事件から1年以上経過した翌年7月6日、「職場での待遇への不満から、呼吸器のチューブをはずした」と自白して逮捕された。当時24歳。密室で自白した相手は県警本部から新たに派遣された若い男性刑事だった。





目撃者はなく「証拠」は自白のみ。
過ちに気づいた西山さんは裁判で無実を主張したが、大津地裁は懲役12年の実刑判決を言い渡し、最高裁で刑が確定した。獄中から冤罪を訴え続け、2度目の再審請求でようやく、大阪高裁の後藤眞理子裁判長が「警察官などから誘導があり、迎合して供述した可能性がある」と裁判のやり直し、無罪が確定した。



女性自身




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西山美香さんの自供




西山美香 知的障害の看護助手 (5)


「法的に」いうと、自白と自供は大きく違う。



自白という言うのは、自分から罪を認めること。
自供と言うのは、自分の犯した行為などを自ら供述すること。つまり、「私がやりました」という感じに罪を認める段階が自白。その後、「凶器はXXに隠しました」とか言う感じに、状況を自ら語るのが「自供」となる。




民事上は、被告が原告の主張を自ら認めることを自白といい、民事では自供というものは存在しない。刑事事件では自供・自白は、それが強制されたりしたものでなければ証拠になる。


しかし、物的証拠ではなく状況証拠扱いだから、その自白や自供を裏付ける物証がなければ、それだけで「有罪に持ち込むのは難しい」というのが現在の刑事裁判。



民事も基本は同じだが、警察が取り調べたりするわけじゃないので、普通自白は自らの自由意識で行われるから、証拠として採用されないことはまずあえない。



では、西山美香さんの自供・自白は(単独では)証拠にならないのに、罪が認められたのか?



西山美香さんは知的障害と発達障害だった。

人工呼吸器を外して殺害したのか、外す前に亡くなっていたのかが明確ではない。本人は、人工呼吸器を外したと自白したとのこと。普通は、自白なんて強要、誘導なんてしないし、疑われる状況で起こった。



酸素マスクに指紋もあり、アラームも無理に長押しして切っている。

明らかに、「状況」としては有罪だった。看護助手が看護師、医師の指示もなくアラームを切るなんて、あり得ない。心肺停止した時点で、ナースステーションでアラームが鳴るはず。それで、他の看護師が来て、元看護助手がその場にいれば、明らかに故意にアラームを切り、酸素の供給を絶ったというのが自然の流れ。




その時、一番最初に患者の状態に気がついた看護師が証人になる。

西山美香さんはうまく説明ができず、取り調べで優しく接してくれた山本誠刑事に恋をし、自供を誘導され、その状況証拠、自白、医師の検死報告で有罪となった。








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西山美香さんは知的障害の看護助手




西山美香 知的障害の看護助手 (3)



看護師は、国家資格。
医師の指示で点滴したり、患者さんのバイタルチェックしたり、いろんな処置したり、採血したり、薬の仕分けするなどする看護師を「サポートするのが看護助手」。看護助手の仕事内容は、オムツ交換、入浴介助、掃除、シーツ交換など汚い雑用がほとんど。この看護助手は誰でもなれるし、ほとんどがアルバイトで、看護師とは全く違う職種と思っていい。


西山美香さんは知的障害であったが、意思疎通を適正に行うことができない者を除き、現行法では軽度知的障害がある者でも採用される。仮に聴覚障害があっても、読唇術をマスターすれば意思疎通を適正に行うことができる。




実際、軽度知的障害者が看護助手として患者の身の回りの世話や病棟内の清掃として働く事例は多い。




知的障害者の障害特性として、知性の低さゆえに待遇に不満を感じにくく、「サボタージュ」等をして怠けるという知恵も働きにくいため健常者ではありえないほど真面目に業務に取り組む傾向があり、ある意味「健常者にはない特別な才能」を持っている。




なので、西山美香さんは知的障害の看護助手であっても、こういった知識を持った職場では率先的に雇用される傾向にある。







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西山美香さんは知的障害だから冤罪になった?



西山美香 知的障害の看護助手 (2)





西山美香さんの、「山本誠刑事に好意抱き、嘘の自白をしてしまった」という主張は、おそらく半分は本当で半分は弁護士の入れ知恵。



事実、好意とは言えなくても、親切と感じるくらいのことはある。

警察の取り調べは、人格否定等の暴言まがいの言動で責め立てる役と、優しそうに相談に乗る役の2人が交互に取り調べ、容疑者の心理を狂わせて自供させる手法が広く用いられている。



優しそうに相談に乗る役の警察官を親切な人と勘違いさせ、自供を取る。
法律や警察・検察のやり口に余程精通し、さらに特別強い精神力を有していない限り、健常者であっても容易く落とされ、やってもいない自白へと誘導されてしまう。それが、西山美香さんのような知的障害者が相手ならば造作もなく誘導尋問の罠にかかる。




知的障害者は警察・検察の誘導尋問などで冤罪被害に遭いやすく、極めて高度な特殊詐欺等で長期にわたり、刑務所に服役している知的障害者の存在も知られるようになった。



取り調べに当たった山本誠刑事を含め、警察も検察も知的障害者の障害特性を全く知らなかったのか、西山美香さんが「サボタージュ」を行ったと信じて疑わなかったかことで冤罪が生まれてしまった。




この事件の背景には、知的障害者の障害特性に関する社会的理解がほとんどなかったことがあり、知的障害者に対する社会的理解を進めることに尽力すべきだろう。







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西山美香さんの今後






まず、冤罪や誤認逮捕をされた者は被疑者補償規定による補償、起訴されたが無罪判決を受けた者は日本国憲法第40条を受けて立法された刑事補償法による補償を求めることができる。



また、あまりに不当な逮捕や起訴であり、逮捕や起訴が違法である場合には、国家賠償法による損害賠償を求めることができる。



ちなみに冤罪とは裁判で無罪判決を受けた場合、不起訴や証拠不十分での釈放は冤罪とは言えない。冤罪や無罪だった場合、支払われる保証金は、拘束された日数 × 1000円~12500円。例えば、100日拘束されていたら、最大で125万円貰える。


次に国賠訴訟を起こして勝てれば請求のうち裁判官が決めた額がもらえるが、これは公務員(警察)の不法行為が立証できなければ認められない非常に勝てる確率が低い裁判。




西山美香さんの冤罪は警察の勇み足もあるが、警察官も検察官も犯人を見つけ出して起訴して有罪にするのが仕事。必ず粗っぽい事もすると思っていないと、いくら優秀な人物でも固めてしまう。その方が評価が高くなるのですから当然だし、少なくとも悪意の捜査官が混ざると思っていた方が安全。裁判官も無罪判決ばかり書けば評価が低くなるのでは、誰だって有罪にしたくなる。





弁護士には強制捜査権がないから、これをやられるとどうしようもない。

冤罪は裁判官が刑事司法の原則を守らないから発生する。警察も悪いが、その責任の大半は裁判官にあると思ってもいい。疑わしいにも関わらず、有罪を出した事さえ証明すれば良いようにして、それまでは任意の段階から取り調べの全面可視化。そうすれば刑事に同調しやすい被告が誘導される事を防げる。




警察や検察の不正を取り締まる専門の機関の新設も有効だが、アメリカは市警察、郡警察、州警察にFBIと、警察が別の警察を摘発する事がある。日本は狭いのでそこまでは無理かも知れないが、全国に一つしかないとどうしても不正の隠蔽に繋る。



今は冤罪が判明しても自分の責任が問われないばかりか、国も損害をカバーするだけのペナルティーを負わない。多く払う事で国家に損害を与えたとして、担当官が低評価を受ける様にしないと、けして他人事ではないということを知っておかないといけない。










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